【 第二章 第四話 】




--------------------------------------------------------------------------------------------------- 「っみんな!!」 「行かせないよ、キリア。」 力の差がありすぎて、フォールから抜け出せない。 どういうこと?何が起きたの?どうなってるの? 一瞬の出来事に頭がついていかず、忙しく頭を働かせるけど理解できない。 ただ目の前に起きていることだけが頭に入ってくる。 みんなが血に染まり、倒れている――それだけが。 「さあキリア。君を護ってくれる人はいなくなったよ?」 「離して…離して!!みんなが死んじゃう!!」 「アハハ、君には力が戻っていないんだもんね。独りじゃ何も出来ない。」 心底楽しそうにフォールは笑った。 “独りじゃ何も出来ない” 深く深く心に突き刺さる。…本当のことだから。 剣が扱えるわけじゃない。知識もない。魔術だってわからない。 「本当に君がこの世界を救えると思ってるの?」 言わないで 「出来やしないよ、キリアには。」 イヤ 「自分でだってわかってるんでしょ?」 やめて 「キリア」 それ以上言わないで… 「俺のものになれ。」 フォールの言葉を聞いて一瞬呼吸が止まる。 その瞬間は、言葉の意味を正確に掴むことができなかった。 先ほどとは違うフォールの声と態度に、動けない。 怖い。 怖い。 怖い。 優しさや慈しみはなく、冷たさと憎しみが宿った目。 有無を言わせないような言葉。 全てが恐ろしいと感じた。 「どの道、全神は解放させない。この世界は救われないよ。  そして存在意義を失えばキリア、君は――」 「お前はいい加減黙れ。」 「それ以上余計なことを喋ると首が刎ねますよ?」 「キリアを離せ。」 みんなの声が聞こえたと思ったら、フォールの体から血が出ていて、 今度はカイトの腕に抱かれていた。 「大丈夫か、キリア?」 「カイト、シア、サディウスさん…っ!!」 3人とも傷だらけで、とても荒い息をしている。 相当な傷なんだ…。 「流石…というべきかな、これは。」 流れる血を止めようともせずに、顔に笑みを浮かべてフォールが言った。 その態度に3人が剣を握り直す。 「そう警戒するなよ。今回はこれで引き上げてやるから。」 そう言うとフォールはふわっと宙に浮いた。 「だけど勘違いしないでね。次はキリアを連れて行く。俺のものにする。」 眩い閃光が輝いた後、フォールはフッと消えていった。 「キリア、大丈夫?」 フォールの気が完全に消えたことを確認して、シアとサディウスさんがこっちを向いた。 「ケガはしてないですか?」 「うん、平気だよ。それよりみんなは――……」 ドサッ 突然、今まで感じていた温もりがなくなった。 「カイト様っ!!」 「カイト!?」 急に、さっきまで感じていた温かさが消えた。 「……カイト?」 ― 力無き者の存在意義 ―














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