【 第一章 第五話 】




--------------------------------------------------------------------------------------------------- ―――――旅立ちの数日前のこと。 コンコン 「あ、はい。どうぞ。」 キリアはこの数日の間にすっかり落ちついた。 いや、落ち着く術を見つけたというのだろうか。 とにかく明るくなった。 「お邪魔するよ?」 カイトかと思った訪問者は、見知らぬ女性だった。 「突然悪いね。えっと、あんたがキリア?」 人懐っこそうな笑顔。 「初めまして。私はシンシア・サラジュシュ。今回の旅に同伴することになったんだ。」 20代前半に見える栗色の髪をした女の人で、 どことなく高貴な感じがする――。 「あっ、はい、えっとキリア・セレシリスです!  シンシアさん、こちらこそ初めましてっ。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? 「っぷ、あはははっ!面白い子だね、キリア。  私のことはシアでいいよ。」 屈託のないシアの笑いにホッとする。ちょっと複雑だけど・・・。 「目的は大きいけど、楽しい旅になりそうだな。  私はキリア様の護衛兼侍女ってことだから、何でも言うんだよ。」 「え、護衛兼侍女だなんて・・・・・って護衛、ですか?」 「そう護衛。」 さらりと言ってのけるシア。え、でも護衛・・・・? 「もちろん、カイトも、もう1人の従者のサディウスも護衛術は 桁外れに秀でてる。  だけどあいつらだけに任せておけるかというと・・・」 「??」 「やっぱりダメだ!私も行かなきゃ!!あいつらだけに任せておけない!」 拳を振り回しながら熱弁し出すシア。あわゎどうしよう・・・。 「安心しなよキリア!私がちゃんと護ってあげるから!」 「あ、ありがとう。」 いい人みたいだけど、す、すごいパワー・・・・・。 「だけどシア、貴女は女性だよね?」 「そりゃね。でも心配後無用だよ。」 「え?」 「シアはそこらの兵士よりも強いんだよ。」 「カイト!」 「・・・・カイト、あんたいつの間に・・・。」 「今さっきだ。」 「もしかして、私とキリアの楽しい一時を邪魔にしきたのか?」 「さぁどうだろうな?」 フフフと笑うカイトに、ホホホと笑うシア。 2人とも、ちょっと怖い・・・・。 「まぁいい。キリアの質問に答えるよ。」 「あ、うんお願い・・・・。」 「私の父親は先王の側近であり、親衛隊長を務めていたんだ。  その父の影響で私も幼いときから剣術を学んでいたってワケ。」 「それが気付けば剣術大会で準優勝するほどになっていたんだよ。」 「え・・・・そ、それじゃあシアっていろんな意味で凄い人?」 「そそそそんなんじゃないよ!全部父のお陰だっ!!」 ぎょっと焦って全面否定するシア。 そんなに否定しなくても・・・・・・・。 「それは凄いと言うんじゃないのですか、シンシア・サラジュシュ?」 と、一声。 「これはサディウス・オルファリア様。宰相のご公務は終わられたのか?」 「勿論、済ませてきましたよ。」 次に入ってきたのは、ダークグレイって言うんだろうか。 深い灰色の髪の20代半ばから後半くらいの男の人。 サディウス・・・・さん?さっきシアが言ってた人?宰相って・・・・。 どうしたらいいのか考えていたら、カイトが助け舟を出してくれた。 「キリア。サディウスだ。シアと一緒に今回の旅の共をしてくれる。」 「サディウス・オリファリアと申します。」 「あ、えっとキリア・セレシリス・・・・です。」 すごく雰囲気が柔らかい。優しい笑顔・・・・・ 「とても可愛らしい方ですねぇ。」 「えっ!?」 「サディウス・・・?」 「おや、何かまずいことを言いましたか?」 シアから低い声が発せられてもサディウスさんの笑顔は変わらず。 「っ私のキリアに変なことを言うんじゃなーい!!」 と、その後一揉めあったけど、そのお陰で私の緊張もすっかりなくなった。 そしてシアとサディウスさんは、用事があるとかで部屋を出て行った。 「楽しい人たちだね、あの2人!」 「そうか?騒がしいと思うけどな。」 「あはは。でも、それがこれから調度いいんだと思うよ。」 「・・・・それを望むよ。」 そう言って笑い合う。 カイトにはもうすっかり慣れた。心から信頼できる。 だけど、なんだろう? 最近、今までとは違う気持ちになる。 全てを曝け出せない。嫌われたくない。幻滅されたくない。 ――――――――――――いつも側に居て欲しい。 なんなんだろう、これ? 私おかしいのかな・・・・? ― 旅の仲間と芽生える想い ―














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