【 第一章 第三話 】




--------------------------------------------------------------------------------------------------- 「キリア様?」 「あ、ミラ。」 「どうかしたんですか?いやにボーっとされて・・・。」 「――ううん。なんでもないの。」 「ほんとか〜?」 「もうシャルスまで。なんでもないよ〜。」 「何か心配事があるならいいなさいよ?」 「そうですよキリア。僕らは貴女がとても大切なんですから。」 「ナティラにファクトル・・・みんな・・・・。」 「ありがとう。でもほんとに大丈夫だから!」 ・・・・・大丈夫だから・・・・・。 「キリアッ!!目を醒ましてくださいっ!!」 ――――ファクトル 「っどうしたんだよお前!!」 シャルス・・・・・・赦してとは、言わない。 「キリアーッ!!私たちの声を聴いてよぉ!!!」 ナティラ――これだけは信じてほしいの。 「元に戻ってくださいキリア様ぁっ!!」 ミラ・・・・・みんな、みんな 大好きだった。 再び目が覚めると同じ部屋だった。でも、誰もいなかった。 ・・・・今のは夢だったの?――なんてリアルな夢。 カイトはどこに行ったんだろう? 何がどうなのかまだ状況がつかめないけど、きっと忙しいんだろう。 だけど1人だと増して不安になる・・・。 『 キ リ ア 』 「え?」 今のは空耳? 『 キ リ ア ・ セ レ シ リ ス 』 空耳なんかじゃない!――誰かが私を呼んでいるの? 誰もいないことを再度確かめると、部屋を出た。そしてその声へ導かれるまま廊下を進む。 初めての場所なのに、どうして迷わず行けるのだろう。そしてなぜ誰にも会わないのだろう。 『 キ リ ア 』 今はそんなことはどうでもいい。ただ進むだけ。この声の先に一体何があるの? 私が全神だったなんてまだ信じられない。だって何も覚えてないけど普通の女の子じゃない。 “キリア”って言う名前なだけで、たまに変な夢を見るだけで。 そうよ、どこから見たってただの女の子じゃない―――。 『 キ リ ア ・ セ レ シ リ ス 。 全 神 よ 。 』 どれだけ歩いたのだろうか。気づくと部屋の前にいた。ドアには異様な模様が描かれている。 「何、このドア・・・・・?」 そして―――ほんのちょっと、触れただけだった。 パアアアアアアアアァァァァァァァァ 「な、何これ・・・・っ!?」 ドアが突然光だし、その光は私ごと辺りを包んだ。 「きゃあああ!!」 目を開けると不思議な部屋にいた。 後ろに例の異様な模様をしたドアがあることから、おそらくここは部屋の中。 それよりも――――――― 「この人たち、夢に出てきた人だ・・・・・・。」 部屋の側壁にかけられた4人の肖像画。まさしく、さっきの夢に出てきた者たちである。 肖像画の下には文字が書いてあった。 燃えるような紅の髪に、紅の瞳 ―――― 『火を司る男神 シャルス・サラマンドラ』 透き通る青銀の髪に、紫の瞳 ――――― 『水を司る女神 ミラ・ウィンディーネ』 黄色がかった翠の髪に、蒼の瞳 ―――― 『風を司る男神 ファクトル・シルフ』 豊かな茶の髪に、黄金の瞳 ―――――― 『地を司る女神 ナティラ・ノーム』 これが、四聖神。 全神とともに世界を支えた四聖神。 全神の封印とともに自らを封印した、四聖神。 「・・・・シャルス・・・・ミラ・・ファクトル・・・・ナティラ・・・?」 ふと、頬に温かいものを感じた。 涙。 どうして涙が出てくるのかわからなかった。だけど止まらない。 ――なんで、こんなにも懐かしく思うの? そしてもう1つ、部屋の中にドアがあることに気づいた。 『 キ リ ア 。 全 神 キ リ ア ・ セ レ シ リ ス 。 』 声はそこから聞こえてきているような気がした。 ・・・・・・・行こう。 ドアに手をかける。ドアは光らなかった。ただ、体中に何かが走った気がした。 「う・・・・・・そ・・・・・・・・・?」 ドアの真正面、部屋の奥の壁にかけられた大きな肖像画。 そこには華やかに微笑む少女が描かれていた。肖像画の下の文字にはこう書かれている。
『全てを司る女神 ―――― キリア・セレシリス』
全てに光を与える黄金。全てを癒す緑の瞳。それはまさに――― 「・・・わ・・・・たし・・・・・。」 もう溢れる涙の理由も、止めることもどうでもよかった。 信じなければいけない事実。逃げ出すことの出来ない現実。 受け止めなければならない自分の運命・・・・・。 私は全神なんだ――――――。 ― 其れを受け止める強さ ―














NEXT  BACK  MAIN
 









SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送